第31回「ジャッジQ&A」 ナビスコ杯第1節 浦和vs仙台(ゲキサカ講談社)

直輝が結果的に怪我するに至ったプレーに対する松崎日本サッカー協会審判委員長の見解。

「仙台の田村直也選手が後方から来たボールをスライディングしながら左足でクリアしたところ、浦和の山田直輝選手が体を後ろに向けて左足からチャレンジし、田村選手と接触。山田選手は田村選手の両足にひっかかるように左側に転倒します。結果、山田選手は左膝前十字靭帯損傷という重傷を負いました。山田選手はオリンピック代表の選手に選ばれる可能性もあると言われているほど。本当に残念です。

岡部拓人主審はこのプレーの外側約8mの位置から、前に他の選手がいるわけでもなく、しっかりと見ています。

ノーマルスピードでは、田村選手がボールをクリアしたあとに山田選手が自分の足を相手の足に無理やり突っ込んだ。山田選手が転倒したのは、田村選手がスライディングしたあとに体が後方に放り投げ出され、前方に伸びた両足が山田選手を余儀なく挟み込むことになったため。そのようにも見えます。

であれば、ファウルはなく、そのままプレーを続けさせたことは正解。岡部主審もそのように見たのでしょう。だから笛を吹かなかった。実際、浦和の山田暢久選手もファウルと感じていないようで、ルーズボールを拾って前方にパスしています。

一方、スロー映像では、田村選手が後方に投げ出されたとき、結果的に両足がそろってしまったというより、止められるのに止めず、無意識かもしれないけれどカニばさみを行っているようにも見えます。特にテレビ放映された映像では、そう見えます。であれば、この勢いでの危険なタックルとなり、警告が必要なファウルです。

スロー映像はどうしても見ようとする部分が強調して見えてしまう。だから、それを差し引いて判断しなければなりませんが、それにしても田村選手の両足先の動きは気になるところです。

最近、気に留めていることが2つあります。一つは、山田選手のように自分の足をさらして相手の足に無理やり突っ込み、“それをしたらケガをするだろう”という行き方をする選手が増えているのではないかということ。

サッカーは、相手選手のみならず、自分自身も傷つけるようなプレーをしてはならないのです。低い位置のボールを相手が足で蹴るかもしれないのに、頭を下げて行く。これはファウルです。レフェリーは、選手が自らを危険にさらすプレーをファウルとして取っていかなければならない。さもないと、そんなプレーで負傷が増えてしまいます。

もう一つは、今季からイングランドのプレミアリーグで、スライディングタックルにおけるファウルの基準を変えてきていること。これまでファウルとしなかったものでも、十分に危険であればファウルとする。そうして選手の安全をより守っていこうとしています。

この基準が世界的にどれくらい統一的なものになっていくのか、まだ分かりません。しかし、サッカーは選手がプレーするもので、選手が安全に安心してプレーできる環境を整えるという考え方は正しいと考えます。であれば、早くこの基準が世界の基準になっていくべきであるとも思います。

この2つの観点からしても、山田選手が大きなケガを負うことになった、このプレー。判断が難しく、とても考えさせられるものでした。

(元記事: http://bit.ly/H4eSAC 「ジャッジQ&A」ゲキサカ講談社)

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